彫金手打金具の魅力① ~2025年新春 縁起を担ぐ彫金手打金具~
仙台箪笥の特徴のひとつである豪華な飾り金具。
一枚の鉄板を数十種のタガネで打ち出して仕上げる彫金手打金具は、非常に貴重で美術的価値も高く、愛好家の強い支持を集めています。
今回は新春にふさわしく縁起の良い彫金手打金具を、一足先にご紹介します。
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鶴亀松竹梅一枚の丸金具に鶴と亀、松竹梅が詰め込まれた豪華な一枚。向かい合う鶴と亀が印象的です。
―鶴亀「鶴は千年、亀は万年」ということわざで知られるように、長寿の象徴とされる鶴と亀。結婚式やお正月などのお祝いの席でよく用いられる縁起物です。
―松竹梅樹齢が長く、厳しい環境でも育つ「松」は長寿の象徴、地下茎を張り巡らせて次々に芽が生え、まっすぐに伸びていく「竹」は子孫繁栄の象徴、春告草とも呼ばれる「梅」は春を迎える喜びの象徴とされています。 -
鳳凰・花車大迫力の鳳凰と、煌びやかな花車。二種類の金具が美しく雅な雰囲気を醸し出します。
―鳳凰伝説の鳥、霊長とされる鳳凰。その姿は五色絢爛な色彩で羽には孔雀に似た五色の紋があると言われ、桐の木以外にはとまらないと言います。
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―花車花車とは、四季の花を車(御所車)にのせた吉祥文様で、華やかな王朝趣味の意匠として現代にも愛され、用いられています。また、花車の柄には幸福招来の願いがこめられています。
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四神(青龍・白虎・朱雀・玄武) 四神とは、天の四方の方角(東西南北)をつかさどる四体の神。東には青龍、西には白虎、南には朱雀、北には玄武が、それぞれの方角の守り神と言われます。
―青龍(せいりゅう) 東を守る青龍は、金運・商売繁盛・成功・勝利などをもたらすと言われています。
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―白虎(びゃっこ) 西を守る白虎は、邪気・災難を遠ざけ、幸福を呼び込むと言われています。
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―朱雀(すざく) 南を守る朱雀は、5色の羽を持ち、火を操る美しい鳥といわれる不死鳥。災難を祓い、幸福と家運繁栄をもたらすと言われています。
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―玄武(げんぶ) 北を守る玄武は、硬い甲羅を持つ亀とそれにまとわりついた蛇が一体となった姿をしています。繁栄と健康、長寿をもらたすと言われています。
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彫金手打金具師 小田 俊直 氏
約20年間に渡る修業を積み重ねた気鋭の彫金作家。近年ほとんど見ることの出来ない火作りの引手製作など、伝統技術を忠実に守りつつ、新作のデザイン柄なども柔軟に創作する実力派の彫金作家で、日々意欲的な製作活動を行っている。